耐火建築物とは?耐火性の高い注文住宅を建てる際の注意点
2024/06/28
耐火建築物は火災時に安全性を維持し被害を最小限に抑えるための建物で、耐火性能は建物の構造に応じて30分から3時間と設定されます。防火地域での建築が可能であり、火災保険料の割引や安全な避難が利点です。
耐火建築物とは?耐火性の高い注文住宅のメリット
耐火建築物とは、壁、床、梁、柱などの構造部材が一定の耐火性能を持つ建物のことです。これらの構造部材は、火災発生時においても一定時間、機能を維持し、建物全体の安全性を確保します。耐
火建築物の設計は、火災が発生した際に炎が広がるのを防ぎ、火災が収まるまでの時間を稼ぐことを目的としています。具体的には、建物の階数や構造部材の種類に応じて、30分から3時間といった耐火性能が設定されます。
これにより、火災が発生しても建物の構造が倒壊したり、火災が延焼したりして被害が拡大することを最小限に抑えることができます。
◇耐火建築物のメリット
耐火建築物の主なメリットは、防火地域での建築が可能となることです。これにより、都市部や密集地域での住居建設が容易になります。
第二のメリットは、火災保険料の削減です。耐火構造の建物は保険料が安くなるため、長期的な経済的負担が軽減されます。そして、第三に、耐火構造は火災に対する強さがあり、火災が発生しても建物が倒壊することなく、安全に避難時間を確保できる点が挙げられます。
また、耐火性能が高いため、災後の早期復旧が可能であり、生活再開までの時間を短縮できる利点もあります。
耐火建築物を建てる際の注意点とは?
耐火建築物を建てる際は、以下の点に注意する必要があります。
◇建築コストが多くかかる
耐火建築物を建てる際は、建築コストの増加に注意しましょう。耐火性能を高めるためには、特定の耐火材料や施工基準を満たす必要があります。
例えば、外壁や内壁には特定の強化石膏ボードや耐火レンガを使用する必要があります。これらの材料は一般的な建材よりも高価であり、また、施工においても厳格な基準を満たす必要があります。準耐火構造と比較して、耐火構造の建築コストはざっくりと1.3倍程度高くなるとされています。
さらに、耐火性能を保つためには、設計段階から材料選定や施工方法に細心の注意が必要であり、これらの追加的な工程や管理費用も負担となります。
◇デザインに制限がかかる
耐火建築物では、建築基準法に従った耐火性能を確保するために特定の材料や設備の使用が求められます。これにより、窓や外壁などのデザインに制約が生じる場合があります。
例えば、火災時に火の拡がりを防ぐため、特定の防火窓や耐火外壁が必要とされることがあります。
また、共用部や居室の内装には特定の耐火性能を持つ材料を使用しなければならないため、デザインの選択肢が制限されることもあります。
耐火建築物の建築費用を安くする方法
耐火建築物の建築費用を安くする方法は以下の通りです。
◇シンプルなデザインにする
耐火建築物の建築費用を抑える方法として、シンプルなデザインを採用することが挙げられます。シンプルなデザインは、建材の種類や施工の複雑さを減らし、それに伴うコストを節約することができます。
具体的には、外壁や内装において簡素な仕上げを選ぶことで、特殊な耐火性能を要求される材料を最小限に抑えることができます。
また、平面的な配置や構造を採用することで、建築工程が簡略化され、工期や労務費用の削減にも繋がります。さらに、無駄な空間や過剰な設備を排除することで建材の使用量を最適化し、建築費用を最小限に抑えることができます。
必要な機能を確保しつつ無駄を省いた間取りや、効率的な収納スペースの設計を取り入れることで、住宅の利便性を維持しつつ費用を節約することが可能です。
◇その他の安くする方法
耐火建築物の建築費用を抑える方法はいくつかあります。これらの方法を組み合わせることで、盛岡で耐火建築物を経済的に建設することが可能です。
木造の耐火住宅を選択する
木造は鉄骨やRC造に比べて建築費用が安価であり、特に都市部で土地の取得費用が高い場合に有利です。
補助金や助成金の活用
自治体によっては耐火建築物の建設や老朽化建物の除却に対して補助金が交付される場合があります。このような制度を活用することで、実質的な建設費用を大幅に削減できます。
火災保険料の割引
耐火性の高い建物は火災保険料が割安になる場合があり、長期的な経済的負担を軽減できます。
耐火建築物の事例を紹介
実際に建てられた耐火建築物の事例をご紹介します。
◇事例1
画像出典:日本木造住宅産業協会
防火地域での住宅の建築事例です。防火地域でありながら、やすらぎを感じられる木造にしたいという顧客の想いから建てられました。
耐火被覆で部材が厚くなる点をスマートに納め、空間が無機質にならないようデザインに工夫が施されています。また将来のリフォームに備え、間仕切壁は耐火被覆の必要がない雑壁をできる限り使用されています。
◇事例2
画像出典:日本木造住宅産業協会
防火地域での住宅の建築事例です。木造耐火構造を採用することで、構造コストが抑えられています。
また、耐火被覆による外壁の厚みを建築的要素として活用しています。具体的には、開口部を内側にセットバックさせて窓際に植込スペースを設けたり、軒裏に霧払い機能を組み込んだりといった工夫が施されえています。
耐火建築物は、火災時に一定の耐火性能を持つ構造部材で構成される建物です。これにより、火災発生時に構造の安全性を保ち、被害を最小限に抑えることができます。耐火性能は建物の階数や部材に応じて設定され、30分から3時間の間火災を防ぎます。防火地域での建築が可能になり、火災保険料が安くなるのが主なメリットです。
また、火災時にも安全な避難が可能で、早期の生活再開も促進します。建築費用を抑える方法としては、シンプルなデザインや効率的な間取り、木造の利用、自治体の補助金活用、火災保険料の割引などがあります。これらの手法を組み合わせることで、経済的かつ安全な耐火建築物を実現できます。