注文住宅の基礎知識
住宅をつくる~住宅建設は性能評価が大切
2023/06/13
住宅性能評価書とは?
上述したように住宅性能評価書とは、国土交通大臣に認定された第三者評価機関が住宅性能を評価し、その結果を記載した書面のことです。この住宅性能評価書は、住宅性能表示制度に基づいて作成されます。住宅性能表示制度は、2000年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、2000年10月から本格的に運用がスタートしました。
住宅の性能に関する共通のルールが定められ、住宅性能が目に見える形で表示できるようになったことで、住宅の取得を考える一般消費者が住宅性能を相互比較できるようになりました。住宅性能表示制度は、まさに消費者の住宅選びのために生まれた制度なのです。ただ、住宅性能評価書の取得は法律で義務付けられているわけではなく、取得するかどうかは任意とされています。
住宅性能評価の申請も、住宅を建てた建築会社はもちろん、住宅の買主や売主など誰でも可能です。制度の運用開始から20年以上が経過し、新築住宅における住宅性能評価書の交付割合も増えてきていますが、現在の交付割合は3割弱となっています。
住宅性能評価書の交付を受ければ、住宅の性能を客観的に比較検討できるというメリットがある一方、交付までにかかる費用は決して安いとはいえません。
住宅性能評価書を取得するメリットとは?
ひとつ目のメリットは、上述したように住宅の性能がわかりやすく表示される点です。これにより耐震性や耐久性、省エネ性能など、目に見えない住宅の性能を把握できます。
住宅ローンの利用時や地震保険加入の際などに有利に働く点も、住宅性能評価書を取得するメリットのひとつです。耐震等級によって変わってきますが、地震保険に加入する際、保険料が10〜50%割引になりますし、住宅ローンのフラット35を利用する際は、金利引き下げの対象となります。
建築会社などとの間でトラブルが起きた場合、紛争処理機関を利用できる点もメリットのひとつです。住宅性能評価書を取得していれば、指定住宅紛争処理機関に紛争処理を申請できます。また、将来住宅を売却することになった場合、高評価を得られる点もメリットです。このように住宅性能評価書を取得することには、さまざまなメリットがあります。
住宅性能評価書を取得するデメリットとは?
取得することによるデメリットもないわけではありません。当然ですが、住宅の性能を評価するには費用がかかります。つまり評価を申請しない住宅よりも、その分コストがかかってしまうわけです。その費用相場は、10~20万円といわれています。
評価を受けるとなれば、その評価を上げたいと思うのは当然です。しかし評価を上げるためには、使用する建築資材のグレードを上げたり、職人の作業にも手間が増えたりするため建築コストが上がります。この点もデメリットのひとつといえるでしょう。ただ、これは結果的に住宅性能を上げることになるため、見方を変えるとデメリットとはいえないかもしれません。
住宅性能評価は、あくまでも客観的な評価です。すべての項目を最上級の等級にしたとしても、誰もが快適だと感じる住宅になるとは限りません。自分たちが長く住む家をつくるわけですから、何を重視するのかをよく考えて建てることが大切です。
住宅性能評価書取得までの流れ
住宅性能評価書は、どのように取得すればいいのでしょうか?ここでは、評価書が交付されるまでの流れをご紹介します。
正式な申し込みをする前に、まずは事前の打ち合わせが必要です。この段階では、申請に必要な建築図面などの書類やその記載方法、手続きなどのスケジュールを打ち合わせます。そして次に行うのが評価の申し込みです。事前に打ち合わせをした内容に基づいて、検査機関に正式な住宅性能評価の申し込みを行います。
申請後、提出した書類などに不備がなければ、いよいよ評価の実施です。設計住宅性能評価では設計図面などが評価方法基準に適合しているかどうかを審査し、建設住宅性能評価では施工工程に即して現場検査を実施し、審査が行われます。そしてすべての審査が終わった段階で評価書が交付される、というのが取得までの一連の流れです。
設計住宅性能評価書は、設計内容の評価が完了したときに交付され、建設住宅性能評価書はすべての検査が完了したときに交付されます。ただし、新築の建設住宅性能評価書が交付されるのは、建築基準法に定める検査済証の交付後です。
住宅性能評価は一般消費者が容易に物件を比較検討できるものとして有効かつ重要なものです。評価費用がかかったり、等級を上げるために建築コストが上がったりするデメリットもありますが、それ以上にメリットもあります。住宅を建てる際は、住宅性能評価書の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
秋田エリアで高性能住宅の建築と住宅性能評価書の取得をお考えなら、日沼工務店のように地域で長く営業している工務店へ相談することをおすすめします。